11.15AM5:00
急に目が覚める、それはなぜかわからない。
昨日は昨日で忙しく、今日は今日で忙しい。
ベアタという学生さんに出会う。
試験勉強で忙しい中、ワルシャワの公演中に通訳として一緒にいることになった。
今日は朝の九時には飯を食べて。
30分には迎えが来る。
10時には劇場に入って19:00には本番。
国立劇場、小ホールといえども500席はあるわけだから大変だ。
これが終えればみんな幾分か気が楽になるだろうと空谷さんが言う。俺も言う、そうであってほしい。
(国立劇場に、入りました。劇場の入り口を見つけるのにしばらく時間がかかったのを覚えています、落ち着こうといってみんなでかたまって煙草を吸いました。入り口発見、劇場入り。奥へと進んでゆくと通路には白塗りがつかない様にと楽屋から劇場に通じる全部の道にパンチカーペットだったと思います、が敷き詰めてありました。着くなり劇場の裏方さん達が陽気に迎え入れてくれくれました、それからがもちろん忙しく。大輔さんはたくさんの指示をして周り(劇場にじわじわと熱を帯びて行くのが感じられました)スンアさんは体を温める為にアップへ走りに、岡崎さんは巨大な照明卓へ足を運び、空谷さんはすべての人の間にたって行ったり来たり。私は巨大な音響卓へと足を運びました。予想はしていたのですがそれを目の前にして真っ青になりました。で、でかい。果たして私は今日の夜をこの悪魔のような機械を駆使して乗り切ることができるのだろうか、と、いよいよ腹をくくり、日本人らしい考え方で覚悟をきめました。この日だけ一緒に通訳としてついてくれた男の学生さんがいました、その人に間に立ってもらい操作の説明を受けて、準備にとりかかりました 舞台に向かって前スピーカー、それから舞台に立つ演者への返しスピーカー、それから真後ろからの低音が出るスピーカー、と三種類も別々のフェーダーがあり、またそれにも細々としたたくさんのフェーダーがあるのでした。チェックをして、練習をして、とやっているうちにもう本番の時間、大輔さんとスンアさんと、握手をして。空谷さんと岡崎さんと握手をし。真っ白い糊のきいたYシャツのような、パリッとした緊張感の中で開場、客席は十分もしないうちに満員、通路に座るお客さんもいた。私は彼女からもらったお守りを音響卓のすぐ見える場所におき本番が始まる約束の時間を待ちました。そして本番。客入れのMDを蒼天の雫本番用MDに入れ替える、フェーダーに指を乗せる、それからゆっくりあげてゆく、不思議に私はこの作業の中でかけらも孤独を感じなかったのを覚えています、変な話なのですが、大輔さん、スンアさん、空谷さん、岡崎さんと、すぐそばに感じることができたのでした。今迄で一番落ち着いた動きの中で音としてやり切れたというのが感想です、その日の舞台はとにかく格好がよかったです、600から650人の前で踊り続けるスンアさん大輔さん、何人かは席を立ち劇場を後にしました、何人かは不思議さを可笑しさと捕らえてくすくすと笑いました、それから残りの全員が食べるような瞳をもって舞台を見つめているのでした、誇り高い姿でした、私が二年前に出会った大輔さんの凄さが確かに本物だったと確信し私は本当にうれしかったのでした。本番が終えて、みんなで晩御飯を食べに行きました。歩きながら今日のステージはどうだったかと話をしました。「これからの私は、日本人だと胸を張ることができそうです」と、二人に言いました。スンアさんは優しい笑顔で応えてくれました。それから、大輔さんのなんともいえなさそうな、くしゃっとした笑顔をよく覚えています)