がむしゃら柴田のポーランド日記 3

11/1ブロツラフ
教会の前にあったモメント


11/1の朝早く。
今日はポーランドでは大事な日なんだそうだ。
日本で言うお盆に近いと聞く。
ロベルトも今日は家族と一日を共にするといっていたし。
昨日見たことといい。昨日話したことといい。
すばらしい旅に参加させてもらっている。
今、私は幸福というものを体にまとっている気がする。

(昨日。だいすけさんに自分の居た札幌の劇団のことを話した)
大輔さんは、もう二度と同じ人間で劇団が復活することはない、と言った。
離れてゆく人間というものはそういうものなんだ、。
もうすでに、自分の人生について考えているのだ、。

人の為に何かを成せ。大輔さんは俺にそう言った。
(そのことについてしばらく考えて、外に出かけた。)

AM10:48
空谷さんに教えてもらった座禅を組む。
ポーランドの公園、全てのことは諸行無常。。。
(あとでこのことを空谷さんに話すと人前でやってはいけないものだと言われた、反省)

AM11:28
教会へきた。
あのどでかい二本のとんがりが天を突く、あの建物である。
どうやったらあんなものをつくることができるんだろう?
私は知らない。
ステンドグラスが鈍く光っている、木でできた長い椅子が幾つも並んでいる。たくさんの人がどの教会にもいる。

なんだか逃げ出したい気持ちになってくる。
なんのことはない、今の俺には自信がない。
大きなものを目の前にして、日本人であることの自信がない。
みてはいけないものを見ているような、いてはいけない場所に座っているような、ここに居てもいいのだろうかと。
アイディンティティーというものを失いそうだ。
(だいすけさんが良く、俺が何かを見てすごい!というとこう言った)
たいしたことあらへん、たいしたことあらへんのや
一々ぺこぺこ謝らない。
居たいから居るんだ、だめならだめといわれるんだから。
(そう念じて教会で何かが起こっているのをしばらく見ていた)

ポーランドの人は、子供も大人も跪いて胸で十字を切る。
歌を唄い、、何を思っているんだろう。
厳かな口調で金色の服を着た男が何かを話している。

(この日はここまで書き込んでありましたが、この後、大輔さんがポーランドのお墓参りを見せてやるといわれて、二時くらいに劇場の前で待ち合わせをして、マグダとスンアさんと俺と空谷さんと大輔さんで見に行きました、岡崎さんはというと不思議な事情がありましていけませんでした、残念。次の日の朝に、昨日のことを詩にして書いてありました、日本では見れない光景を今でもしっかりと思い出せます。夜どうしていたのか記憶をたどってみるとたしか、男三人でやっぱり飲んでいたような気がします、不思議なことにどのお店もほとんど閉まっていました、ポーランドの独立記念日だったと記憶してあります。)




11/2ブロツラフ
ユースホテルにて空也ポーズ

11/2 AM7:30

何人死んだ?
何人殺した?

無名戦士の十字架を私の背中にも同等のものを感じてみてはどうだ、言っておく、同情からの言葉ではない。

透明な混沌を持つ霊魂は見るだろう
蝋燭の明かりが自分の骸を照らすだろう
今日だけは、孤独を見つめずにすむのかもしれない。

ポーランドには愛があった
自分はどうだろう?
聞いてみる
問いかけてみる
日本人には愛があったか?
聞いてみる
問いかけてみる。

見渡すと取り残された墓石がある、1つ、2つ、3つまだある。

取り残された墓石の上に一輪の花もなく
取り残された墓石の上に一本の明かりもない

さびしいだろうが貴様は死んだ!!
後ろ髪断たれて貴様は死んだ!!
貴様のことを俺は知るすべもない!!

貴様は一人、墓石の前に立ち来ない家族を待つだろう。

せめてもの思いで、要らぬだろうが。
知らぬ故人を思って私の涙を一粒あなたに捧げます。

今日、11:40の列車に乗ってブロツラフを後にする。
次は、クラコウという町に行く。
一生という短くも長い人生の中でまたここにこれるかどうかもわからない。

まず、自分のしたことに。一々了解を求めない。
謝らない、自分を下にしない。簡単に折れない。

そうして俺は強くなる。
簡単に自分を下げずに。
ペコペコせず。
我を通して、折れない体を創る。
そうして俺は強くなる。
強くなってみてはどうだ?

クラコフ行きの列車の中に乗っている。
四時間の旅である。

6人掛けのいすに6人座っている。
だいすけさん、スンアさん、岡崎さん、空谷さん、俺、ステファニアさん。

ものすごく静かである。
パンにマヨネーズと辛子を混ぜたものをつけて食べる。
少々眠けに誘われて眠りにつく。

おきると三人がいない。
列車の中を散歩しているようだ。

ああ、皆。
夢のような出会いをぼくの何倍繰り返すんだろう。
運命というものに何べん触れてくるんだろう。
ぼくはとにかくステファニアさんと空谷さんに挟まれて電車に揺られて思案する。

「daisuke buto is life」
そんな風にいわれてみたい。
そして言ってみたくもある。

いやはやうんぬん4の5の言わず私の考えは深まる。

電車 揺れる。
風景 走る。
俺  座る。
クラコフ 近づく。

明日は本番。
空谷さんが音響、ラララ life is beautifulu!

11月2日 
クラコウの第一夜目。
5人で話し合いをした後、岡崎さんと二人同じ部屋で眠りにつく。

だいすけさんが体を鍛えれば俺のような体になれると言ってくれた。

俺はなる、必ず、そのためにここに来た。
一月じゃ、たかがしれてる、一日一日をしっかりと掴もう。

明日は本番だ。
音響のシートは空谷さんに渡してあるし、
もしかしたら俺がやることになるかもしれないし、そういった覚悟が必要だ。
・・・(この後よくわからないことがたくさん書いてあるので省略します、一冊目終了)

(三日目に起きたことがまったく記録されていませんでした。私の記憶では、空谷さんが音響、岡崎さんが照明。俺は楽屋とブースの間を行ったり来たりと大忙しでへとへとでした。その日の晩の公演も客席は満席でお客さんの反応もよく、大成功だったと記憶しています)

11月4日AM10:00、と
書いたとたんに大輔さんがホテルの部屋にやってきた。
「朝飯の時間だぞ」
朝飯を食べる。
前かがみで飯を食うな、貧乏くさいぞ柴田。
三〜四歳に形成された人格を立ち返って治そう、といわれる。

うーん、覚えているような覚えていないような、小さなころ。
ようするに自分の曖昧さは小さな頃から来るもの何だと思った。
とにかく、今日はワークショップなのである、三時半までには着くようにしてまた日本食を頂くことになるのではないかと思う。

(この町のマンガという建物が劇場でまたワークショップの会場でした、その一角に軽食店があって米と味噌汁を食べさせてくれたんです。何日かぶりに日本の飯を食べたときのなんともいえない喜びはやっぱり今でも思い出せます。)

久々のおにぎりはずいぶんおいしかった!
味噌汁に、豆腐に、だけどあれはしみ豆腐だったと思う。

昨日も疲れた、毎日が充実している。
だいすけさんは言う。
「柴田とはいつ舞台に立てるかな?」と。
うれしかった
とても。

自分にも踊れるんだろうか、あんな風に。
やってみたい。
今日は待ち望んだワークショップである。
同じ星に生まれた僕らは地球人なんだから、くだらない一線を引くのはやめる。
日本人として、いやいや。
地球人として、一番を獲らせてもらう。
とかなんとか、、そんなことよりもきっと楽しいんだと思う。
それが、いままでと少し違うところ。

友達ができた、マックスに、グレゴ、アラ。
マルタにパブロにボイッテック。
楽しいなあ、俺はもっと英語を勉強する。
そうするともっと関係が取れる。
マックス、彼はジャパンの漫画大ファンである。

フニクニフリクラ、ヤッターマン、GTO、等々。
ああ、女神様という漫画のカードを見せては私の愛人である、みたいなことを言うではないか。おもしれえ、変態である。

ああ、頭の中は言葉の大洪水である。
英語とポーランド語があふれかえった海である。
日本語に何とか置き換える神経回路がだんだん繋がってきているような気がする。無知は損をする、反対もあるのだろうけれど。

今の時刻は11:32、どこえ出かけてみればよいものか。
街は広い、道も複雑である。
ここから劇場のマンガまでの道のりもなんだか曖昧。
今ほしいものは、雨が降っても濡れない靴と、もう少しましな帽子である。

とにかく、もうじき出かけたい。
今日はワークショップ、何があるのか楽しみだな。


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