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 1995年ポーランド公演 

「生を停める」11/08 Dazeta Wielkopolska紙 (ポズナニ市)
人々は歩いたりしゃがみ込んだり手を動かしたりに慣れきっている行った動きについて考えることはない。観客は日本人舞踏家を1時間余りにわたってまるで魔力にでもかかった様にして見つめた。一方、彼は歩いたり四つん這いになったり手を動かしたりして、「鳥女の首」の公演は光の演出から始まった。ゆっくりとした踊り手の動きを見るのに必要な集中した精神状態に観客を導く。光はホールを斜めに横切り、床を直線に走り、床に赤いしみを落とす。 

 《大地は不安定》
 着物を思わせる衣装の下に人の姿態を創造するのは難しい。不思議な時間が動き始めた。彼の表現は我々ヨーロッパの通念と余り共通する所がないからだ。ホールの一点から次の場所まで移動がどのぐらいかかったか言うことが出来ない。そしてそのとき吉本が幾つかの動きをしたか思い出すことは出来ない。まるで地に支点を探しているかのように動いていた。踊り手の懸命さは彼の頭の花の揺れが物語っていた。

《考えるのをやめる》
 一見舞台は何も起こっていない。動く。しかしどんな物語も構成されていない。動きのリズムは観客を裏切る。ところが観客は次第に舞踏家から流れるエネルギーに支配され、何かとても不思議な形で舞踏家の苦行に参加し始めるように思われる。これはかなり非論理的であるのは解っている。が、もしも"この何か"が存在しなければ吉本を見守ることは不可能だろう。


《音楽に反して》
 舞踏家は音楽に反して動いているように思える。まるでこの作品の舞台が町の祭りと海辺の間に有るように。しかしかもめや人々は踊り手の見方ではない。一番大事な事は彼の内面で起こっているのだ。

《痛む動き》
 この踊りを書き留めることは難しい。舞踏家が一本の花を握り潰す場面が記憶に残る。つぶされた花の匂いが観客席の前列まで香る。筋肉の動きが我々を魅了する、我々はついに自らの目でどこからゆっくりした動きが生まれるのかを認めこのリズムの秘密を発見する。どんなわずかな動きにも書く細胞が痛むかのように歩を踏み出す。
 光の中舞踏家は爪先立ちに伸び上がり、まるでもう消えて欲しいかのように。静寂!暗。暗闇の中丸くうずくまる姿が見える。

《緊張の限界》
 拍手の嵐が沸き起こり、私を驚かす。舞踏家のエネルギーにホール全体が飲まれていたとは思わなかったんだ。ところが何とアンコールである。公演が始まった時、舞台と観客席の間に電気のように激しい境界が走った。しかし吉本はその魂を彼らの前にさらけ出すことによりこの緊張を制覇した。さてさてどうしてそうなったのか私には説明することは出来ない。

《これは生で、演劇ではない》
 この公演が私を魅了したとは書くことが出来ない。ヨーロッパ見解としてはよく演出された公演ではなかった。しかし舞踏家の表現力に大変な感銘を受けた。どこで公演し、何が彼の振りに伴われているかは重要ではなくなった。まるで彼の身体が透明になったかのように、まるで舞台が彼の内面で起こっているかのように。

《時間の謎》
 私はこの踊りから二つ想起されたものがあった。自分の子供がまだ二、三ヶ月の頃、子供の動きを何時間も垣間見ていられた手を、足を動かす。頭を上げようとする。大変な集中力であった。この子の頭の中で何が起こっているのかを推測した。最も単純な動きに注ぎ込まれるエネルギーを不思議に思ったもである。
「コヤニシ」という非凡な映画を思い出した。巨大な山々の終わりなく続く動きのない画像である。この映画の終わりは巨大な都会で、休みなく先を急ぐ群衆。映画全体が映像と音楽のみ。時間の体験。

「空間を飲み込む」10/26 Echo Krakowa
 ポーランド200年の歴史を持つスタリィ劇場の大舞台にただ一人。
しかし空間全体はその存在に打ち満たされている。ポーランドの俳優では誰も挑む勇気を持たないであろう長い長い踊り手の静止さえも観客の注意の火花を走らせる
瞬きや、ほんの数ミリメートルのほとんど気付かないような体の動きまでが舞台の非常に大切な要素であり構成となっている。 が同時にそれとは正反対にの緊張の極。まったく静謐とした肉体から生ずることでより刺激的な強烈で大きく激しい動きも存在した。舞踏は感覚、雰囲気」、連想に訴える。もし起こった事柄を語ろうとすれば、彼は舞台を歩き、衣装を取り、下手に座り、また逆方向に歩き、四つ足で歩き、光の中に消えた云々。ところが、一方、実際の踊りによって呼び起こされた緊迫と想起の豊かさは偉大であったのだ。死、肉体の腐敗、苦痛、飛翔・・・とても感情的で、論理的な言葉には置き換えられない状態を!
 

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